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“近所”で爆発した宇宙のモンスター

-観測史上最大級のガンマ線バーストの観測、岡山50cmMITSuME望遠鏡も貢献-

 東京工業大学など日本の研究グループを含む国際共同観測チームは、観測史上最大級の「モンスター」ガンマ線バースト「GRB 130427A」をとらえることに成功しました。詳しいデータ解析の結果、今回のバーストは宇宙年齢 100 億年という現在とほぼ同じ宇宙環境で発生したにもかかわらず、宇宙初期に発生する普通のバーストと同じ「モンスター」としての性質をもっていることが分かりました。今までで最も近傍で発生したバーストの場合は爆発エネルギーが著しく小さく、別種の現象の可能性が高かったのですが、地球に近いからこそ得られた「普通のモンスター」の高品質のデータによって、従来のガンマ線放射機構の理論は再考を迫られることになりました。

 国立天文台岡山天体物理観測所の 50cmMITSuME 望遠鏡は2013年4月27日の日没後に観測を開始し、明るい可視光残光の減光の様子を一晩にわたって観測しました(図1、図2)。

GRB130427Aの減光

図1.岡山50cmMITSuME望遠鏡が捉えたGRB130427Aの減光。2013年4月27日(左)、4月28日(右)の観測で画像中央のGRB130427Aが減光していく様子を捉えています。

GRB130427A の各観測バンドでの放射エネルギーの時間変化

図2.GRB 130427A のさまざまな観測バンド(ガンマ線、X 線、可視光、および電波)での放射エネルギーの時間変化。青い点で描かれている X 線残光の光度曲線のなかで、発生後 3257 秒後と 8821 秒後の 2 点を MAXI が計測し、途切れていた Swift 衛星のデータをなめらかに補完して X 線残光のスムーズな減光を明らかにした。また、赤い点で書かれた可視光の光度曲線に MITSuME 望遠鏡(明野と岡山)および石垣島天文台による観測が含まれています。

 ガンマ線バーストは、太陽の数十倍の質量をもつ恒星が一生の最後に起こす大爆発で、平均的には宇宙年齢 30 億年の宇宙初期、すなわち 100 億光年を超える遠方で発生します。今年 4 月 27 日に発生した GRB 130427A はもともと大きな爆発エネルギーをもつガンマ線バーストでしたが、38億光年という“近所”で発生したためにとびきり明るく観測されました。

詳しくは、“近所” で爆発した宇宙のモンスター(東京工業大学) をご覧ください。

この研究成果は11月22日発行の米科学誌「サイエンス」に掲載されました。

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