論文紹介:中質量巨星HD100655を周回する惑星の発見
A Planetary Companion to the Intermediate-Mass Giant HD 100655
論文紹介
A Planetary Companion to the Intermediate-Mass Giant HD 100655
(372kb, E-PASJへリンクしています)
M. Omiya, I. Han, H. Izumiura, B.-C. Lee, B. Sato, K.-M. Kim, T. S. Yoon, E. Kambe, M. Yoshida, S. Masuda, E. Toyota, S. Urakawa, and M. Takada-Hidai
Publ. Astron. Soc. Japan 64, 34 [8 pages] (2012)
中質量巨星HD100655を周回する惑星の発見
日本と韓国の研究者の国際協力で進めている惑星探索により、視線速度法を用いて、G型巨星HD100655に惑星を発見しました。この惑星は、木星質量の1.7倍の質量を持ち、主星から0.8AU(AU:太陽-地球間の距離)程度離れた軌道を158日周期で公転しています。主星は太陽の2.4倍の質量を持っており、この惑星は太陽の2倍以上の質量を持つ星の周りで発見された惑星の中で最も軽いものの一つになります。一般的に重い星ではこのような惑星は検出しにくいのですが、韓国の普賢山天文台での初期観測によって惑星の兆候を見つけた後、日本の岡山天体物理観測所でも集中的な追観測ができたことで、早期に惑星の証拠をつかむことができました。この発見は日韓協力の賜物と言えます。
この惑星の発見は、重い星の周りで木星質量程度の巨大惑星の存在を確認し、軽めの巨大惑星の検出の重要性を示しました。今後も、このような発見例を増やし、重い星の周りの惑星系の特徴を明らかにしていこうと考えています。
G型巨星HD100655で観測された視線速度変化の様子。●は韓国普賢山天文台、○は岡山天体物理観測所での観測点。線は惑星の影響と考えられる視線速度の変化(モデル)。主星から約0.8天文単位の軌道を1.7木星質量の惑星が158 日周期で公転していることを示しています。
この研究論文は、日本天文学会欧文研究報告(PASJ)Vol.64 No.2 2012年4月25日号に掲載されました。